おともだちさろん 3I小学童 お話会

March 10, 2012

見るなの座敷(支部例会記録)

2012年3月10日(土)10:00~12:00
この本だいすきの会・II支部3月例会 (通算21回)

3月中旬。卒園・卒業式のシーズンに入り別れのさみしさと、新しいスタートへの希望とがないまぜになる季節です。本日欠席の方からは、「今年度最後の学校清掃に行ってきます。」「新入学の学童説明会があります。」などの声が聞こえてきましたよ〜

さて、今日のテーマは昔話より「見るなの座敷」です。
鶯も時節柄ぴったりと思い、選びました。 


うぐいす  
見るなの座敷

資料研究

見るなの座敷(みるなのざしき)は、そのタイトルだけをみても「見るなの座敷」「見るなのくら」、あるいは「うぐいす姫」「うぐいすの一文銭」「うぐいす内裏」他があります。昔話の分類上は『隣の爺型』とされていますが、隣の爺の登場しない「うぐいす浄土」型の話も多く、また、異類婚姻譚という解釈もあります。

参考のため、『決定版 日本の民話事典』より引用した文を紹介します。
決定版 日本の民話事典―読んで面白い ひいてわかり易い (講談社プラスアルファ文庫)



見るなの座敷
 むかし、村の祭りに、たいそうきれいな娘がお宮参りに来ていました。祭りが終わると、娘はすたすたと山奥に入って行きます。娘に見とれた若者があとをつけると、娘はりっぱな屋敷に入りました。そこに泊まった若者はていねいなもてなしを受けます。
 つぎの日、娘は、「十二ある座敷のうち、十一までは見てもいいが、十二番目のはけっして見てはいけない」と言いおいて出かけます。若者が順々に戸をあけて見てまわると、最初は正月、つぎは初午、そのつぎは雛の節句というように、月ごとに楽しい祝いの宴の景色があらわれます。最後に、禁じられた座敷がどうしても見たくなり、あけると梅の木があって一羽のうぐいすが飛んでいました。そこに娘がもどり、「あれほど言ったのにどうして見たのか」といってうぐいすになり、悲しそうにどこかへ飛んでいってしまいました。

 これは新潟で記録された話です。「見るなの座敷」は、青森県から鹿児島県まで、日本の各地で語られています。いずれも、山奥の大きな一軒家に娘が一人で住み、そこに泊まった男がもてなされ、禁をやぶって見てはならない部屋なり倉なりをあけたため、娘がうぐいすとなって飛び去る、というあら筋はほぼ共通しています。語りによっては、見てはならない部屋や倉の数が異なったり、あらわれる景色のようすが異なったりする場合があります。座敷の場合は、日本的俳諧の世界を思わせる、四季折々の美しい景色であることが多く、また、田植えや蚕上げなど、農作物に関する風景が語られます。倉の場合には、米、栗、豆、味噌、着物、宝物などの倉になっているようです。
 部屋にせよ、倉にせよ、ここで語られる美しく豊かな風景は、かつて人々が思い描いた理想郷をあらわすものであり、この話は別名「うぐいすの浄土」と呼ばれます。

 この話には、もう一つ別の語りかたもあります。
 男が、山の中の一軒家で美しい女にもてなされ、「見るな」と言われた座敷を見ないで約束をまもり、毎日、女の出かけたあとの留守番を一年間つとめます。男はお礼に「うぐいすの一文銭」というめずらしいお金をもらい、それが千両で売れて大金持ちになりました。それを聞いた隣の男がまねをして出かけますが、禁をやぶって、見るなと言われた奥の間をあけるとなにもありません。女が帰り「たいへんなことをしてくれた。長いあいだ山をまわって読んだ法華経をしまってあったのに、すっかりなくなった」と言って悲しみ、隣の男にはなにもあたえず、暇をだしました。
 これは「うぐいすのほけきょう」という題で新潟に伝わる話ですが、「花咲か爺」や「こぶとり爺」のような『隣の爺型』の語りになっています。また、「うぐいすの一文銭」のモチーフは、一見なんでもないものが高く売れる話として、中国の「胡人採宝譚」を連想させるものがあります。(新倉朗子)



読みがたり

持ち寄った資料の中から、時間の許す限り読みがたりすることにしました。以下に紹介するのは絵本画像が中心ですが、吉田さんは語りのために持っている資料(新潟県での採話)を、また、あっきーは『哲夫の春休み』の文中に登場する昔話も紹介してくださいました。

 日本昔話百選 うぐいすのいちもんせん うぐいすのよめさま みるなのくら (日本傑作絵本シリーズ) うぐいすひめ (ワンダー民話館) みるなのへや (いまむかしえほん)


そして、小松崎先生もご自身の書かれた本を読んでくださいましたよ!
小松崎先生の「見るなのくら」 
『見るなのくら』
小松崎進/文 黒谷太郎/絵(日本標準)



小松崎先生のコメント

昔話の研究者たちは、この話を『隣の爺型』に分類しています。
私は、山形県最上郡の話を元に再話しました。

やはり、隣の爺型で語るのが面白いと思います。



まいあの感想

例会の準備として学ぶうちに、すっかり魅了されてしまいました。何とも日本らしい情景と文化が見事に語られる作品だと感じたからです。世界中の昔話の中でも、情景の美しさ・色彩や香りまでが感じられるような話は日本独特のものとか。四季の変化に富んだ日本ならではのお話なんですね。『日本昔話百選』『日本昔話大成〈第4巻〉』(同一採話)を、いつか語りたいと練習中です。

絵本は、他の昔話にくらべて、入手できる絵本の数がとても少なかったですね。残念なことに、十二座敷のお話を語りながらも、絵では場面が省略されたものや同一ページ内に複数の場面が盛り込まれるなど、面白さをそこなうものもありました。
個人的に私のオススメは断然『みるなのくら』です。赤羽末吉氏の絵にうっとりです。小学校での読み語りにも何度も使いましたが、その度に子どもたちが引きつけられるのを感じた一冊です。

昔話そのものを楽しむなら、水沢謙一編『とんと昔があったけど』(未来社)などをひもとくと、さらに面白いと思います。グリム3番「マリアの子」も類話なので、読み比べてみてはいかがでしょう。

余談ですが、私の記憶にある「見るなの座敷」の設定は「引き出し」でした。見るなと言われた箪笥の引き出しをあけると、そこには田が広がり、小さな人もいて田植えをしているのです。別な引き出しには実りの秋の情景も。青々とした新田の情景が私の記憶には映像としてあるのですが、そんな絵本には出会えずにいます。もしかしたら、テレビの映像だったのでしょうかねぇ。お話を聞いた(見た?)あと、しばらくは箪笥の引き出しをあける度に、ドキドキしたものでしたけれど。



今後の予定

例会の予定 
4月15日(日)
4月例会は、大西紀子先生をお迎えしての講演会開催です。お友達や地域の方に呼びかけ、皆で「ぬくだまる」時間を過ごしましょう。配布したチラシをご活用ください。

講演会と集会の予定
5月13日(日)第4回小松崎進講演会『子どもはお話だいすき』
7月27・28・29(金・土・日)第30回子どもの本と文化の夏の集い(千葉県市川市にて)





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