January 20, 2011
重松清さん講演会
市の教職員組合主催の講演会に行ってきました。
夜7時から8時50分なので、主婦には外出が困難な時間帯ですが、
丁度、娘のバレエレッスンの時間とかさなっていたので
チャンス!とばかりに出かけていったのでした。
会場には、小学生のお子さんの姿もちらほら・・・作品を読んでいる子たちかな?
さて、重松清さんの著作は、
小学高学年になると読んでいるご家庭も多いですよね。
(中学受験対策として、塾で勧められるらしい)
我が家の書棚には並んでいないという有様でしたが
とても気になる存在の方でした
いじめ問題や少年犯罪に詳しい方なので、
いつか真剣に向き合って読まなくては、とも思っていました
今日のお話は、重々しい話しになるかな?
あるいは、一刀両断に断ち切られるような鋭いお話しかな?
そう思いながら出かけたのですが、
見事に真逆な印象でした
いたって穏やかな語り口で、優しい視点のお話しだったのです
ひとつの正解や標準にとらわれないで!
正解や標準は年月が経てば変わるものです。
誰でも(子どもも大人も)一瞬一瞬を迷いながら生きている。
皆、それぞれに一人一人の正解を持って、
その上で、お互いの正解を尊重して生きていきたい。
そんなお話しと、私は受け止めました。
以下、印象に残った言葉のメモです
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冬季教育講演会
講師 重松 清 氏 (作家・フリーライター)
『学校と家庭と教育と』
●僕が成長した昭和40年代は、
親も先生も正解を出すのが簡単な時代だった!
経済的に成長するのが1番
経済的に豊かな過程が1番
「収入倍増計画」なるものが存在し、収入が倍になれば幸せも倍になると言われていた。
●2011年1月20日、本日
日本のGDP(旧GNP)は、43年ぶりに3位に落ちた!
とうとう中国が2位となり、1位アメリカ・2位中国・3位日本に。
このことを忘れてはいけない!
3位下落イコール「日本がだめになった」ということなのか?
その答は、ぼくたちがこれから考えていくべきこと。
●経済成長を追っていた時代に、正解をだすのが簡単だったのは、
数字であらわせたから。
●映画「Always 三丁目の夕日」に象徴されるような、
昭和30年代~40年代は良かったというが、それはホント?
当時「標準世帯」という基準があった。
標準世帯とは、4人家族。
働くお父さん、専業主婦のお母さん、学生の2人の子の4人。
(子は、中退でも予備校生でもあてはまらない。)
健康体でなければならない。
この会場に、これにあてはまる人が何人いる?(挙手したら・・・ほんの7、8名です。)
40年前に「標準」だったことも、今は違うのです!
そして、変わるのはイイことです!!
●価値観が変わるのはイイこと。
JALがつぶれるなんて、銀行が破綻するなんて、思いもよらなかったこと。
1960年代には、石炭を掘っていれば暮らしていけると思っていたのです。
今の標準だって、50年経てば変わる!
その時代の標準(または正解)を、全てだと思ってしまうと、
そこから外れた人への優しさや思いやりをわすれてしまうのが怖い!
の存在が、働くお母さんにとってどれほどプレッシャーだったか・・・
1960年代には、NHKの幼児教育番組「三歳児」も作成されブームだった。
(「おかあさんといっしょ」の全身番組)
それが、30年もたって1990年代になると、
厚生労働省が「三歳児神話に意味はなかった」と発表した!
30年もたって・・・それなら、イヤな思いをした人たちにあやまれよ・・・
今、正解なことも、30年経てば・・・???
正解からはずれた人への、想像力を持とうよ!
●今、50年前の日本にはなかったイイモノもある!
たとえば「バリアフリー」や「シングルファザー・マザーを見る目」
GDPは下がっても、こんなイイところのある社会が好き!
●足し算ばかりの社会でなく、
時に引き算をすべき社会を、ぼくたちは生きている!
●皆が納得のいく正解がない社会だ。
圧倒的多数の納得する正解なんてないし、ゼロもない。
個人が買い物をするときにも、選んで買った後にも迷いや後悔はあるもの。
これは幸せな状態とはいえない。
では、いざ国が、買えるものは一つだけと定めたらどうか?
選択の余地がないということは、正解はひとつということだが。
●さて、ここからは学校の問題。
今は学校の先生にとって一番大変な時代。
少しでも早く正解にたどりつく子が成績のいい子=正解と言われる。
(入試があるからだろう。)
しかし、これだけが先生の仕事ではないのだ。
子どもにとっては、間違う経験を沢山積むことが大事!
●自分で決めないと、人のせいにしてしまう!
子どもが迷って、どうしようと考える時間を与えて欲しい。
子ども時代とは、沢山迷う時代。
(自殺問題や少年犯罪を追ってきて思うことです。)
●ぼくたち大人も、沢山迷いながら生きている。
子どもだけじゃない!
皆、迷いながら生きている。
数字に置き換えられる「正解」を生きているのではない。
うまく正解にたどりつくのが偉いのではなく、
迷って、迷って、生きているから偉いのです!!
●人と人とのおつきあいは、ぶつかり合ったり、溶け合ったり。
少子化で一人っ子が増え、喧嘩ができない。
はじめての喧嘩が他人と、というのは心配なこと。
(佐世保の小6女子が同級生を殺してしまった事件は、その例)
喧嘩はいくらしてもいい!
そのかわり、仲直りできる関係でいて欲しい!!
低学年のうちに、いっぱい喧嘩して、何度も仲直りして欲しい。
(思春期では難しい。)
はじめての喧嘩が即、殺人では困ります!
●この10年、増えた悩みは、
表面上は仲良くやっているが、自分のキャラを演じ続けていなくてはならないということ。
喧嘩ができないから、臆病になっているのだろう。
●しかし、そんな子に「一人を恐れるな」なんて決して言わないで!
大人だって一人になりたくない。
ましてや子どもが一人だったら、守ってあげたい。
みんな、一人は嫌なんだ!
●毎日毎日、一瞬一瞬を、迷いながら生きている。
皆が一人一人の正解を持って、
その上でお互いの正解を尊重して生きたい。
子どもは、自分と同じだねと仲良くなるのが第一歩。
大人は、その人にも一理あるよね、と認め合う社会でありたい。
●小説は役に立ちます!
人間一人の人生なんてちっぽけなもの。
でも、小説の中でいっぱい悩み、いっぱい後悔している。
いっぱい読むことで、サプリのようにいっぱい取り込んで!
歴史的に見ても、
ゲームは、たかだか20年。しかもおおむね日本製。
漫画は60年。
映画もせいぜい100年。しかも言語では理解が難しい。
ところが小説は・・・
旧約聖書の時代から今まで、出版され続け、
しかも、全ての名作を日本語で読める!
自国の言葉で読めるなんてすばらしいこと!
私たちが読み続ければ未来に残ります。
未来の子どもたちのために、大人が本を読むことも大事!
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残り10分というところで、娘のお迎えのため泣く泣く退席・・・
「小説は役に立つ」くだりは、とても共感を覚えました。
小松崎先生にも、子どもに読むべき本のタイプの一つは、
人間の生き方を伝える本であると教えていただいていますし、
絵本を読むことで、人間(擬人化された動物)の不安や喜びが
伝わると思っています。
小説を手に取れる年齢になるまでは、
せっせとお話しを読んであげなくてはいけないな、と思います。